「六十の手習い」と昔から言われるように、還暦から独学でピアノを始めた結果、初心者の私が幼少期からの夢だったクラシックを含めた曲を「3曲」両手で弾けるようになりました。
いくつになっても「何か新しい事へ挑戦するのに年齢は関係ない」「諦めないでやれば出来る」ことを自らの体験を通して夢を実現させたお話しをしていきたいと思います。
「ピアノが弾けるようになりたい」と思っていても「ハードルが高い」と考えている人が多いのではないでしょうか。私もそのうちの一人でした。
年齢のこともあって「教室へ通うのはちょっと恥ずかしい……」「両手でクラシックなんて絶対に無理」「弾けるようになりたいけど、どうすればいいの?」
と最初はこんなふうに悩んでいてなかなか行動に移せない日々が続いていました。
でも、どうしても諦めきれず一度音楽教室に体験入学してみましたが「30分のレッスンは短い」「30分なのに月謝が高い」「週一回30分という時間に縛られるのがストレスになるのでは?」とこんな感想を持ちました。
結局、教室へは通わないで三日坊主の私が決めたのは「独学」です。この時点でもうかなり無謀だということは分かっていましたが、何の取り柄もない私は「ピアノが弾けるカッコイイおばあちゃんになりたい」とも思っていましたから。
「大人のための独習バイエル」上巻19頁まで
そして5年前、どうしてもピアノを両手で弾けるようになりたくて「カシオのキーボード」「大人のための独習バイエルの上下巻」をネットで購入して何の知識もなく楽譜も読めない私が「夢を叶えるために」挑戦をしました。
左手は簡単なコードだけで弾く譜面の練習ではなく、難易度は低くても両手10本の指を使って演奏することを目指していたので基礎からしっかり学べる「バイエル」を選びました。
まず最初に、ピアノを弾く時の姿勢、指の形、指番号、ハ長調の音階と五線上の位置、鍵盤の位置、音符の長さ、拍子、記号などの説明に一応目を通します。
写真付きでとても分かり易く解説してくれていますが、残念ながらこの時点ではほとんど頭に入りませんでした。少しずつ覚えていくしかありませんね。
右手の練習2ページ・左手の練習2ページ・両手の練習3ページこの7ページが終わると不思議なことに両手が別々に動くようになったんです。
個人差はありますが必ず出来ると思います。私はまだ曲も弾けていないのにそれだけでとても感動しました。
そして、本(テキスト)に直接音階「ドレミ」を書き込んで練習をしていきます。すると本に書いてある音階を追う事に集中するので、何時の間にか「手元を見ないで弾いている自分に驚く」という二度目の感動を味わいました。
テキスト12頁~18頁が終わるといよいよバイエル1番からのスタートです。
私の三日坊主の性格でホントに大丈夫かと心配でしたが、この頃には両手が別々に動くようになっていたので「ワクワク感」の方が大きく、これから沢山の難関を超えなければならないのに「練習が楽しい」って思えるようになっていました。
必ず毎日鍵盤に触りましょう!
バイエル1番Var.1~Var.12右手 バイエル2番Var.1~Var.8左手 ここまで7ページ。バイエル3番からいよいよ両手で弾いていきます。
趣味なのでストレスなく毎日練習するのが一番ですが、いろんな理由で練習が出来ない日もあります。そんな時の為に少し先に自分でゴールを決めて「小さな達成感」を味わうようにしていました。
《小さなゴールを決める》
自分で「ここまでは手が覚えらるかな」という感覚が掴めそうな所を「ゴール」にしておくと練習出来ない日があっても、先が見えるので頑張ることが出来ます。
ピアノに触らない日が続くと、それまでに覚えたことを取り戻すまでに時間がかかってしまい、結果イライラして進まず挫折の原因になるので、その時々の鍵盤が奏でるメロディーを楽しみながら、1日10分でも練習する事を心がけましょう。
音符の長さや記号は新しく出てくる度に各ページで説明してくれるので自然に覚える事が出来ます。
毎日鍵盤に触って練習が進んでいくと「弾かなきゃいけない」が「弾きたい」に変わっていったんです。不思議でした。
ページを飛ばさないように進みましょう!
曲が単調だったり逆に少し難しいと感じてしまうと、ページを飛ばしたくなります。でも「そういう所に限って大事な部分が多い」ので必ず順番に進みましょう。
特に下巻まで来ると、かなり弾けるようになっているので、つまずいてなかなかクリア出来ない曲があるとついつい弾けそうな曲を選んでしまいがちです。
しかし、難しい曲ほど弾けるようになると喜びも大きいので、「絶対こうするべき」みたいに自分に厳しくする必要はありませんが、テキストの順番にはそれなりの意味があると思います。なるべく守りましょう。
好きな曲を見つけて毎日1回は弾いてみましょう!
ページが進むと聴き慣れた曲やバイエルの中でもステキな曲が沢山出て来て、その中の一曲でも両手で弾けるようになると、とても嬉しいものです。
好きな曲を見つけて毎日の練習に組み入れてみてください。「練習の最後に必ずその曲を弾いて終わりにする」ようなルーティンを決めることをお勧めします。
毎日鍵盤に触る習慣の一つとして「時間が無い日でも好きな曲を一曲だけ弾く」ようにしてみてください。約3分で弾き終わりますし、練習というより「ピアノを楽しむ」感覚ですね。
時々誰かに聴いてもらいましょう!
「誰かが聴いている」と思っただけで最初はなかなか練習通りに弾くことが出来ません。人前で普段通り弾けるようになると自信が付くので時々演奏を聴いてもらいましょう。
初めて人前で弾いた時は全く弾けなくて「こんなはずじゃなかったのに」って何回も悔しい思いをしました。
逆にその悔しさが「次はもっと上手に弾いてびっくりさせよう」という気持ちに変わり、更に練習に励むことが出来、結果上達につながっていきます。
練習の成果を上げるために音声&動画のインプット
下巻の後半になると音符や記号が増えて五線の上が賑やかで難しくなって来ます。そんな時はYouTubeの動画を練習に取り入れてみましょう。
動画を観ると曲全体の流れや雰囲気が掴めますし、弾き方の参考になったり、テキストだけでは分からない箇所や自分の間違いにも気付くことが出来て、とても勉強になると思います。
例えば「バイエル50番」「バイエル60番」と検索するとその番号の動画が出て来ます。複数の曲を演奏している動画もありますが楽譜が読めない私にとっては最初は解説のない「一曲だけのチャンネル」の方が再生も楽で勉強になりました。
楽譜が読めない状態で解説付きの動画を観ると「ド」や「ミ」と音階を言われて説明されても、ついていけず、余計に頭が混乱するだけでした。
楽譜がしっかりと読めるようになってから、改めて解説のあるチャンネルで勉強をしようと思っています。
「トルコ行進曲」「エリーゼのために」「いつも何度でも」
【バイエルが終わって、いよいよ自分の弾きたい曲に挑戦です】
私がマスター出来たモーツァルトの「トルコ行進曲」ベートーヴェンの「エリーゼのために」は「むつこのピアノ教室」というユーチューバーさんの動画を観て練習しました。
このチャンネルは楽譜が読めない私のような素人にはとてもありがたいチャンネルです。
再生速度を遅くして何度も繰り返し観て、それと同時に先生が押さえる指を追って鍵盤の位置(音階)を楽譜に書き込むことが出来たので、そのお蔭でテキストだけでの練習も出来るようになりました。
ここで「初めからYouTubeで勉強すればいいのでは?」という疑問が出てくるかと思います。私も最初は動画だけで出来そうな気がしたので、この方法を試しました。
姿勢、指の形、指番号、音符の読み方、記号などを事細かく説明している動画はたくさんあります。そこまではいいのですが、実際に実技の練習に入ると何度も動画を再生したり、一時停止させたり、メモをとって自分でマニュアルを作ったりする作業はとても大変です。
自分で書いたメモを見ながら何度も動画を再生する練習方法は私には向いていませんでした。動画を再生する手間を考えると基礎はアナログで、この「大人のための独習バイエル」は私にピッタリでとても優秀な教科書だと思っています。
紙のテキストは必要な時にいつでも開いてピアノが弾けます。なにより「動画みたいに勝手に進んでいかない」のが良いですよね。
素人ながら一応「バイエルを終了した」という自負もあります。ある程度の知識と経験を身に付けてから動画を観る方が良く理解できると私は思っていますが、いかがでしょうか。
ま と め
今年65歳になる私が念願のクラシックを独学で、それも両手で弾けるようになりました。物事に飽きっぽい性格ですが、ここまで出来たのは「ピアノが大好き」「ピアノが弾きたい」という「熱い想い」だけだと思います。
そして、フジコヘミングさんの「ラ・カンパネラ」を聴いて感動したことがこの年齢でピアノを始めようと思った後押しにもなりました。
「好きこそものの上手なれ」とはよく言ったものですね。私はピアノを見ているだけで幸せなんです。そして偶然みつけたこの本「大人のための独習バイエル」アナログとデジタルこの2つを組み合わせた練習方法が、自分にはとても合っていたのだと思っています。
バイエルが終了した時、自分へのご褒美に念願のピアノを買いました。
これからの人生いろんな事にチャレンジして趣味を増やし、充実した毎日を過ごしていきたいと思ってます。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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