中高年の趣味として小筆や筆ペンで漢字・ひらがな・カタカナをキレイに書く方法

賞状用紙に筆で書いた令和中高年の趣味

毎日の生活で「役に立つ文字や文章」がササっと「小筆や筆ペン」できれいに書けたら嬉しいですよね。

「年賀状を筆で書けるようになりたい」「冠婚葬祭での署名や、のし袋の表書きを綺麗に書きたい」「筆字を上達させてボールペンや鉛筆との差別化をしたい」

こんなふうに思っている方はいらっしゃると思います。「年賀状」や「祝儀袋」「お店の休業日のお知らせ」「宛名書き」などを小筆や筆ペンでキレイに書く方法を自分の体験を通して皆さんと共有し、少しでもお役に立てたらと思いこの記事を書くことにしました。

きれいな文字を書く上達方法は基本点画をしっかり練習して美しいお手本をよく見て「正しく真似をする」そして「何度も何度も書く」ことなので個人でも練習して上達することは出来ます。

日頃から正しい書き順で筆に慣れておくと、日常生活にとても役に立ちますし「資格をとりたい」と思った時の近道にもなります。

賞状、命名、結婚式の名札、式次第、のし袋、はがきや封筒のあて名を書く「筆耕」という仕事もあります。例えば百貨店などの外商の仕事です(年齢に関係ありません)。そして何より「今のデジタルの世界」こんな世の中だからこそ筆字を身近な生活に残しておきたいと考えています。

私は若い頃から「字が下手」というコンプレックスを持っていて、いつかは「筆で年賀状が書きたい」と思うようになり、50代半ばから練習を始めました。今65歳ですが老後の趣味としてこれからも続けていきます。

小筆や筆ペンでキレイな「字」書くための基本練習

毛筆で書いた年賀状と祝喜寿袋

「普段の生活にこんな感じで役に立っていますよ」という事をお見せするために、お恥ずかしいですが記事内の画像と「基本点画」は全て自分で書きました。気軽に楽しく、まずは筆ペンで書いてみましょう。

「楷書」:漢字の書体の一つで点画を正確に書く標準的な「字」です。私は基本である楷書の練習からスタートしました。

まず初めに一番大切な文字の形を作っている「点」と「線」のことを「基本点画」といい、この基本点画を繰り返し練習することで少しづつコツを掴み字が整っていきます。地味な練習なので多少の根気が要りますね。

練習を頑張った先に「家族や友人から代筆」を頼まれたりすると、とても嬉しいものです。そうすると「今度はもっと上手に書いてあげよう」と思い、どんどん上達していきます。

  1. 楷書の筆使い
    直線による一点と一画で構成されているので、起筆・送筆・収筆(書き始めから書き終わりまで)を流れるように書きます。
  2. 楷書の基本点画
    規則性がある長さや反り、中心のバランスをとりながら書きます。
  3. 横画・縦画筆字「縦・横画」の説明
  4. 筆字「点画」の説明
  5. 転折筆字「転折画」の説明
  6. はらい筆字「はらい」の説明
  7. はね筆字「はね」の説明

私もこの練習をして少しずつ上達していきました。最初は単純作業の繰り返しでつまらなく思えたので、お手本から画数の少ない漢字を選んで練習をしました。

お手本をよく見て正しい書き順と字の形を覚える

基本点画の練習である程度のコツが掴めたら次は正しい書き順でお手本を真似する実戦の練習に入りますが基本点画の練習より実践は楽しいです。

「見て真似するだけ?」と一見簡単そうに思い挑戦しましたが、長年の自分の癖はなかなか直らないもので、そして改めて気付いた事ですが、今までの自分が正しいと思って書いていた漢字の多くが「間違った書き順だった」ことに驚きました。

将来資格を取ったり、行書や草書を書くようになると書き順が違うと「字」が崩せません。

練習の一つとしてライトテーブルにお手本を透かして「上から字をなぞって形を覚える方法」もあります。簡単に上達出来そうだったので私もライトテーブルで練習してみました。

でも、お手本を透かして上からなぞると勢いがなく自信のない残念な字になってしまうので、「字の形」や「バランスなどのコツを掴む」練習に役立ててください。

それから「苦手な字」の練習をしたり、「字」の形やコツが掴めたらライトテーブルを使わないで普通の練習に戻して自信のある「本当の自分の字が書けるように」練習をしていきましょう。

毛筆で書いた休業のお知らせの張り紙

そのためには出来るだけゆっくり正確に書く練習をすることが大切で最初はその文字の画数の数以上お手本を見て書きます。

本来、日常生活で筆字を書く必要がある場合、お手本はないので残念ですがライトテーブルは役に立ちません。なので「自分の字」が書けるようになることが大切だと思います。

「自分の字」と「お手本」の違う所を見つける

「お手本と自分の字の違い」を見つけてその部分に集中してゆっくりひとつひとつ丁寧に直す練習をしていきます。

地味な練習に飽きてしまったら自分や知り合いの住所と名前に使われている「字」をお手本から探して書くのも良いと思います。のし袋の練習は日常生活にすぐ役立つのでお勧めです。

ある程度「字の形」や「コツ」が掴めてくると一定のリズムが生まれ早く書けるようになり、次の文字への連続した流れで字が整い前後のバランスがとれた綺麗な文章が完成していきます。だんだんと自分のペースで書けるようになって練習が楽しくなりますよ。

私は文章になるとまだ真っすぐに書けないので「筆で書く時は鉛筆で下書きするか、中心線を引いて」書いています。

日常生活で筆文字を書く場合、鉛筆の下書きはある程度必要になってきます。
本番で「名前や住所を間違えて、はがきや祝儀袋を何枚も書き損じしないように」レイアウトをよく考え下書きをして一枚目で成功させましょう。

賞状を書く時は鉛筆で文章を下書きして、墨で紙を汚さないように左から書いていきます。是非参考にしてみてください。

「ひらがな」の書き方

子供の頃から書いている「ひらがな」普段は漢字と組み合わせて書いているので気付きにくいですが、「ひらがな」だけで文章を書いてみると、その難しさがよく分かります。

私は「な」「ら」「れ」「わ」が特に苦手です。

ポイント

「ひらがな」は漢字やカタカナと違い曲線で出来ていて「丸みを帯びている」のが特徴なので文字の中心をよく見て途中で筆を休めないよう一気に書く練習をします。

「縦書き」「横書き」はそれぞれバランスのとり方が難しい。漢字の縦書きは平体(少し横長に書く)で、横書きは長体(少し縦長に書く)で書いて「ひらがな、カタカナ、漢字を組み合わせたお手本を選ぶ」と飽きずに楽しく一度に練習することが出来ます。

例えば「好きな本の一節」とか「詩」で、私は「小倉百人一首」で練習していました。

このように何を書いてもいいので楽しみながら練習する。字を覚えたてのお孫さんに「絵」を描いてもらい「カルタ」を作るのも喜んでもらえるかも知れませんね。

「カタカナ」の書き方

  • 宛名書きによく使われる「カタカナ」はひらがなと違って基本は漢字と同じです
  • 一画一画丁寧にゆっくり書いていく
  • 中心を確認しながら横線を少し右上がりに書きます
  • シ=ツ ソ=ン コ=ユこのような似た字ははっきりと区別をつけて書きます
  • 中心を揃えて「縦書き」と「横書き」の両方を練習しましょう

毛筆で書いたカタカナの練習(英国式庭園)

漢字もそうですが、画数が少ない字ほど中心を揃えたりバランスのとり方が難しいと私は思っています。

各「字」の得手不得手はそれぞれだと思いますが、私は今でも「カタカナ」と「ひらがな」が一番苦手です。カタカナを連ねた文章は少ないですが、住所の建物名には多くなってきましたね。なので私は練習のルーティーンにはカタカナを入れるようにしています。

「姿勢」と「筆・筆ペンの持ち方」

習字の縦書きの練習

「良い姿勢」は字を書く時の基本です。もし筆や筆ペンを使う時の姿勢や持ち方に迷われたら参考にしてみてください。

姿   勢

背筋を伸ばして机と身体の間を拳一つ空けてやや身体を前に倒し、目と机の距離は紙全体が見える30~40㎝くらい離します。

経験からですが、姿勢が悪いと下書きを書いても中心線を引いても真っ直ぐに「字」を書くことは出来ません。

筆・筆ペンの持ち方

「小文字」「中文字」を書く小筆や筆ペンは筆の軸の下の方を持って肘から先を軽く机に置いて、紙の上を自由に移動できる状態を保ちます。

特に決まりはありません。「姿勢を良くして鉛筆を持つように筆を立てて80度くらい傾ける」後はご自分の好みで調整してください。

〈あると便利な墨つぼ〉
硯のかわりに墨つぼを作っておくと便利です。
練習したい時、急に墨が必要になった時、筆ペンがない時、いちいち硯を出して墨や墨汁を用意しなくても手軽に艶のある墨が使えます。ただし、何か月も使わない場合は中で墨汁が固まってしまうので注意してください。

〈作り方〉
ガーゼまたは木綿に脱脂綿を入れてくるみ(てるてる坊主のように)糸でしばります。これを墨玉と言い、墨玉が隙間なく入り必ず蓋のある容器、例えば小さいマスタードの瓶などに入れて墨汁を少しずつ染み込ませていきます。しばらく(1時間くらい)時間をおいて再び墨汁を墨玉に染み込ませることを2、3回繰り返してより濃い墨汁を作っていきます。練習する頻度に合わせて是非作ってみてください。

筆のイラスト

ま と め

前文にも書きましたが私は字が下手で、それが絶対的な理由とは言い切れませんが選んだ仕事にまで影響しました。昔は和文タイピストという仕事があって「綺麗な活字にあこがれ」この職業を選びました。

私が始めた頃は手動ではなく電動タイプライターで後にワープロ、電算写植、マッキントッシュやウインドウズと進化していき、今では個人レベルで活字を自由に表現出来ます。

活字の仕事をしていたのは電算写植までの時代でしたが、あこがれて就いた「活字の世界」なのに歳を重ねていくうちに、世の中にあふれている活字がなんとも無機質で冷たく思え「手書きで温かみのある筆文字」に惹かれるようになりました。

パソコンやスマホの普及で「字を書く」機会が減り、「読めても書けない字」が沢山あります。しかし「筆字」を練習するようになってからは忘れていた字が蘇り「新しい字も覚え」満足しています。

今まで自分を「ダメな人間」だと思っていましたが「筆字」が書けるようになってからは「自信」が付いて自分を少し好きになれました。

小筆や筆ペンで文字を書くということはボールペンや鉛筆で書くことに対して差別化が出来る特技だと思います。美しい文字は誰が見ても気持ちの良いもの、そんな「きれいな筆文字が自分で書ける」って素敵だと思いませんか。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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